ラジオ番組「企業の遺伝⼦」 2026.09.01

ラジオ「企業の遺伝子」Vol.596公開されました(ゲスト:下高井戸シネマ 木下陽香氏・第3週目)

当社代表 武田隆がパーソナリティを務めるFMラジオプログラム「企業の遺伝子」で、有限会社シネマ・アベニュー取締役で下高井戸シネマ支配人 木下陽香(きのした・はるか)さんをゲストにお迎えした第3週目の放送が公開されました。

今回は、下高井戸シネマの転期について伺います。

およそ70年にわたり、東京・下高井戸の街で映画を上映し続けてきた下高井戸シネマ。その長い歴史の中でも、木下陽香さんが「一番しんどかった」と振り返る出来事があります。

父の跡を継いで経営者となったのが2019年。そのわずか半年ほど後、新型コロナウイルスの感染拡大が始まりました。

映画館をどう守るのか。木下さんが決断したのは、独自のクラウドファンディングでした。寄せられた支援は約1,700人、金額は約580万円。ところが、木下さんにとって何より大きかったのは、その数字だけではありませんでした。

「街の誇りです」

「3歳から45年間通っています」

「下高井戸シネマがあるから、この街に引っ越してきました」

「満員電車でクタクタになったとき、ここで映画を観て元気をもらっています」

届いた約1,700ものメッセージを読み、木下さんは初めて、自分たちの映画館が人々にとってどんな存在なのかを知ったといいます。経営を継いだばかりで、どこへ進めばいいのか分からなかった木下さんに、観客の声が一つの道を示してくれたのです。

だからこそ、変えるものと、変えないものがあります。

キャッシュレス決済など新しい仕組みを取り入れる一方、座席はいまも当日の窓口販売のみ。ネット予約には対応していません。不便さを承知しながらそうしているのは、長年映画館を支えてきた高齢のお客さまが、これまでと同じように席を選べる場所であり続けたいからです。

便利になることは、本当にすべての人にとって良いことなのか。木下さんの選択からは、そんな問いも浮かび上がります。

そして配信サービスが身近になり、自宅でも簡単に映画を楽しめる時代。それでも木下さんは、映画館にはそこでしか味わえない体験があると語ります。同じ作品でも、隣にいる観客の笑い声や息遣い、時には自然に起こる拍手によって、その日の映画は少し違ったものになる。

休館を目前にした上映で、エンドロールとともに客席から起こった拍手。その音には、どんな思いが込められていたのでしょうか。 危機を通して見えてきた、街と映画館のつながり。そして、便利さだけでは測れない映画館の価値。下高井戸シネマが守り続けようとしているものに迫ります。